読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

学生の「授業評価」なんてものは公の場で推奨すべきではない

雑感

昔から大学においては「あの先生の講義はキツイ」「単位が欲しいだけなら〇〇先生の講義を受けた方が良い」と言ったように、個人的な関係の中で講義に関する情報がやりとりされることがありました。

 

現在でもこの点については変わっていませんし、私自身もこういった情報をやり取りした経験があります。ただし、もちろんその先生本人の耳には届かないところで。

 

ただ、最近確実に変わったことがあります。それはインターネットで学生の授業評価がやりとりされるようになったために起こったことです。たとえば、最も利用されているのがツイッターです。

 

f:id:nyarumeku:20150202120301p:plain

 

ツイッターと学生のコメント

「〇〇先生はレポートばかりでキツイ」「〇〇学概論の講義が楽しかった」etc……。こういったコメントは今日もツイッターを眺めればたくさん流れていることでしょう。

 

それもどうかとは思いますが、まだ全然良い方です。

 

「〇〇(敬称無し)の講義は面白くない」、「今日の講義でこんな質問紙を配布された(画像付き)」etc……。こういったコメントが後を絶ちません。

 

たとえば、前者に関してはそもそも“学生にとって面白い”ことが“その学問にとって重要かどうか”あるいは“学問的に面白いかどうか”と一致するとは限りません。

 

私も曲がりなりにも学生に講義をしたことがある身分として「ここは話として理解しづらいし、退屈に感じやすいかもしれない」と感じながらも、学問的には必須の分野として出来る限り分かりやすいことを心がけながら話したことがあります。

 

先生によっては、あえて分かりやすさを調節し、学生に考えさせる時間を設けている人だっています。その教え方が(たとえば流し聞きしかしないような)学生にとって面白いとは限りません。

 

少し話は逸れますが、知り合いの先生が最も困ることとして「非常勤で来てもらった先生の悪口をツイッターで公開している子がいた。本気で対策に憂慮した」とおっしゃっていました。

 

先生だって人間です。非常勤の安い給料でわざわざ他大まで来てくれた先生が、そのコメントのせいで次回から来てくれなくなる可能性もあります。

 

そして“質問紙の撮影”については言語道断です。社会科学・人文科学の人間にとっては、質問紙は研究の命です。まさかそんなことをする学生がいるとは思いませんでした。

 

冗談ではなく、今後は「質問紙の内容を他の人に伝えないでください」とだけでなく「撮影しないでください」「ネットにアップロードしないでください」とまで付け加える必要があるのかもしれません。

 

学生掲示板と学生の評価

また、「先生の目につきにくいようなところなら良いのか?」という問題でもありません。たとえば楽天が運営する学生向けポータルサイトのみんキャン。閲覧するには登録が必須で、教員の利用率も少なく、確かにツイッターよりも教員の目につかない場所です。

 

私はこの授業評価をしている人たちを見て驚きました。大学生はともかく、なんと大学院生たちまでもがこういった場所に「〇〇先生の講義は楽に単位が取れる」などと書き込んでいるのです。

 

まだ大学生のページに比べて、大部分のコメントは出来る限りちゃんと“評価”しようとしているだけマシとも言えるかもしれませんが、「大学院とはなんなのか」と考えさせられてしまいます。

 

そして、大学生のページはより悲惨です。

 

“出席はとらないからしなくてもいい”、“単位の神様。交渉次第で単位がでます”、“GPA目当ての人はお勧めしません”、“内職・スマホ余裕にできます”、“レポートは検索してコピペで取れました”etc……

 

こういったコメントが講義名・講義担当者氏名・出席確認の有無・教科書の有無・テストの有無などとともに公開されています。教員側の対策が必要なものもありますが、これが公の場に残されていることに頭が痛くなりました。

 

ネットとの付き合い方に関して

別に、学生が授業評価すること自体が悪いとは言いません。今、教員になっている人たちも学生時代はやっていたことですし、そもそも楽に単位を取れることに最も重きを置く学生だっているのは当然でしょう。

 

ただ、それを公の場に晒すのは全く別の話です。ツイッターに限らず、みんキャンのように登録が必須な掲示板であってもそこは公の場であり、誰かの目に触れる可能性があります。

 

まずはそれを大前提として理解する必要があるでしょう。“独り言のつぶやき”ではなく“世界中の人への公開”なのです。もちろん本人の耳にも届きます。

 

その上で、“講義を評価する”とは食べログのような“お店を評価する”サービスとは全く質的に異なるものであることを理解するべきです。

 

教育は確かにサービス業であるとよく言われます。ですが、そこには同時に上下関係が存在し、教育的な関係が存在します。学生にとっては単位を簡単にくれる先生が“良い先生”かもしれませんが、教育的な目から見ればそうとは限りません。

 

これは決して忘れてはいけないことだと私は考えます。

 

ただし、こういったことを学生側に求めるなら、同時に教員の側でも「今日の学生の態度は良くなかった」「〇〇君は早くレポートを出してね」といったつぶやきをツイッターにつぶやくことはしない方が良いのは間違いありません。