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ミニマリストやシンプルライフを目指す人にぜひおすすめしたいドキュメンタリー映画

商品レビュー

できるだけモノを持たないミニマルな生き方、シンプルライフなどといった生き方が最近流行っています。特に、インターネットでミニマルライフ、シンプルライフなどといった単語で検索してみれば、かなり多くの個人ブログなどを見かけることができるでしょう。

 

こうした流行りのもとをたどっていけば、グラハム・ヒルがTEDでプレゼンした『ものは少なく、幸せは多めに』という動画にたどり着くでしょう。これだけが原因というわけではありませんし、少し前の断捨離ブーム、ノマドブームなども影響はしていたのでしょうが、モノを持たない暮らしの火付け役の一つであったのは間違いありません。

 

 

モノで溢れる現代社会において、モノやスペースを少なく、狭くすることで幸せになろうということを啓発している画期的な動画として、かなりの再生数を誇っています。

 

ただ、こうした“モノを持たない暮らし”に関する最近の流れを見ていると、ミニマリスト(最小限主義者)の本来の目的である「幸せになるため」という部分を忘れて、モノを無くすこと自体やそのファッション性に熱心になっている方が多いようにも感じました。

 

個人的にこの流れには首をかしげており、「モノの少なさを競うことはモノの多さを競うことと何が違うのだろうか」といった疑問を感じていたのですが、最近この疑問にヒントを与えてくれる面白いドキュメンタリー映画を見つけました。

 

それがこの『365日のシンプルライフ』。

 

 

冒頭で、裸の男が尻丸出しで出てきたので、どんなトンデモ映画かと思いましたが、意外とその内容はタイトル通りにまとも。ある男が幸せを見つけるために4つのルールを定めて365日の時間を過ごしてみるという実験を映したドキュメンタリーです。

 

そのルールとは以下の4つ。

 

  1. 持ちモノ全てを倉庫に預ける
  2. 1日に1個だけ持って来る
  3. 1年間、続ける
  4. 1年間、何も買わない

 

最初に裸の主人公は、倉庫からコートを持ち出してきました。そして、翌日はブランケット。こうして男は少しずつ何もない状態からモノを手に入れていきます。このようにして、男は自分にとって最適なモノとの付き合い方を見極めていこうとするのです。

 

個人的に、この映画はミニマルライフの良い部分も悪い部分も描きだしていると思います。良い部分とはもちろん、本当に自分にとってのモノとの最適な関係を見つけられることですが、あえて悪いところをあげるとすれば、それは他人に迷惑をかけてしまうことです。

 

主人公はモノを持たない暮らしの実験中に、携帯電話を4か月ほどプライベートで使用していなかったのですが、その時に友人たちがとある言葉を彼に投げかけています。

 

最近 友達によく言われる 土曜の夜に皆で会おうというと―どうして携帯電話を持たないのか―とメールが来る “友情が大切だと思うなら電話を持つはず 実験のほうが大切なら俺たちは何も言えない”と

 

彼らの関係がその後どうなったのかは分かりません。ただ、主人公がモノを持たないことによって他人に迷惑をかけていたのは確かですし、こういったシーンは日常のシンプルライフとやらでも十分に起きえます。人よりモノを持っていない分、他人のお世話になることも少なくないでしょう。

 

ただ、他人に迷惑をかけること自体が悪いと言っているのではありません。お互いがそもそも迷惑だと思っていないなら頼りあって生きていけることこそ素晴らしいと思いますし、モノを持たない暮らしをするからこそ他人と支え合って生きていくことが重要なのではないかとも思います。

 

ですが、主人公はそのシーンで「メールで口論をするなんてくだらない」と相手の主張を一蹴してしまいました。私はシンプルライフが他人に迷惑をかけることだからこそ、傲慢であってはいけないのではないかと考えます。

 

少なくとも、他の人はモノに溢れた生活をしている中で、自分がモノを持たない暮らしをすればその関係に齟齬が生まれるのは当然です。人によっては「人間関係を断捨離する」と過激な発言をしている方もいらっしゃいますが、自分が幸せに生きるためには相手の都合など一切考えない生き方が推奨されるのはどうかとも思います。

 

この映画を見て、改めてモノを少なく生きるためには、人間関係は豊かであったほうがいいのではないかと感じました。

 

「人生はモノでできていない」とは、本作に出てくる主人公のお婆ちゃんの言葉ですが、モノでできていないのだとしたらそれは何でできているのでしょうか。本作を見て、私はその一つに他人との繋がりがあるのではないかと感じました。

 

シンプルライフの本質は、モノが多いとか少ないとか自体が問題なのではなく、溢れすぎたモノを少なくすることによって、他人とのつながりなど大切なものを見失ってしまわないようにすることではないかと思うのです。

 

ちなみに、本作は映画としては正直ちょっと面白みに欠ける部分もあります。間延びした展開も多いので、退屈に感じるところもあるかもしれません。

 

それを踏まえた上で、主人公の独白やおばあちゃんの教えなど、感じる部分も考える部分も多い作品なので、シンプルライフやミニマルな生き方というものに興味がある方はぜひ一度視聴してみてはいかがでしょうか。